【読書】老後資金の不安をあっさり解消する方法【幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」 Kindle版】
橘玲氏の「幸福の「資本」論」を読みました。
とても興味深い内容でした。
やや難解だったため、理解を少しでも深めようと思い、章ごとにまとめております。
今回は、「自己実現のための人的資本」に関してまとめました。
私には読み解くのが難しく、まとめるのに時間がかかってしまいました。
話が多岐に渡っているうえ、初めて知る単語もあり難解…。
どこまで分かりやすくできるか、要点をまとめられるか自信はありませんが試みてみようと思います。
- 仕事観に思い悩む方
- 今後の働き方を模索している方
- 老後に不安のある方
以上のような方に参考になればと思います。
自己実現のための人的資本
- 人的資本は、最も重要な「富の源泉」。
我々は、人的資本を用いて仕事から得られる収入を最大化しようとしている。
加えて、自己実現することも目的となっており、この2つを両立させることが理想の働き方。
- 日本的なサラリーマンは、メンバーを中心とした、閉鎖的な組織の中で働かざるを得ず、グローバルスタンダードと異なる。
目立たず、悪評を避けることが最適解となっていて、構造的に年齢とともに行き詰まるようになっている。
- 理想の働き方とは、好きなことに人的資本を投入すること。
その場において、マネタイズできるニッチを見つけ、官僚化した組織との取引から収益を獲得すること。
- 老後が経済的に不安な理由は、老後が長いからであり、好きな仕事をし続け生涯現役であれば、老後不安は解消される。
以上が要点となるかと思います。
仕事探しの基準
この章ではかなりの量を割き、サラリーマンとして働くことが、如何に特殊で不合理であるか書かれていました。
一般企業に勤める方が、この部分を読んだなら、暗澹たる気持ちになることでしょう。
ただ、幸いにも一筋の光明として対策も示されています。
それは、好きなことを仕事にする。
うーん。
どうなんでしょう。
みんな、これができたら苦労はない。
できないから思い悩む。
だから、以下の様に書かれたのでしょう。
「好きを仕事にする」以外に生き延びることができない残酷な世界に投げ込まれてしまったのです。
とはいえ、この辺は考え方次第であるとも言えます。
レビューした「林修の仕事原論 (青春新書インテリジェンス)」にあったように、「やりたい、やりたくない」に関わらず、「できる、できない」を基準に仕事をすることも一つの方法でしょう。
また、以下にツイートした様に、自分の道がハッキリしていれば、日々は穏やかに過ごせます。
【自分ができないことが明確にあったほうが視界は良好になると思っていて。仕方なしにでも、歩くべき道がはっきりすれば、天才じゃなくても機嫌よく生きていける気がしますね。】https://t.co/QOLv6UA1Iv @YahooNewsTopics
— NgtRPT (@NgtRpt) 2019年3月3日
そもそも好きかどうかは、やってみないと分かりません。
ツイートの記事にありますが、「テンポよく失敗する」のは確かに必要でしょう、いきなり成功することは稀なことな訳で。
トライアンドエラーを数多く繰り返した先に、好きなものが見つかるのかなと。
あとは、自分が好きなことの要素は分析しておくと良いかもしれません。
100%大好きというものはナカナカないでしょうけど、70~80%くらいは好き程度でも何とかなりそうです。
だから、その割合を占める本質的な要素を自覚していれば、好きなことの幅も広がるのではないでしょうか。
そうすれば、好きの要素が含まれる全ての物事を、好きになることができそうです。
ニッチの意味
ニッチをマネタイズするためには、どの様にするべきか。
本書では以下の様に3つ方法が挙げられていました。
-
小さな土俵で勝負する
-
複雑さを味方につける
-
変化を好む。
基本的には、官僚化した様な大きな組織からはイノベーションは生み出し難いと橘氏は説きます。
そこで、好きなことをプロフェッションとした個人が、組織に代わってイノベーションを生み出していく。
大企業では手の届き難いコンテンツを個人が発信していくことが、これからの知識社会で自己実現と収入の最大化を両立させる方法であると。
というのが、今後個人がフリーエージェントととして生きるために必要なことの概要として書かれており、理屈では分かります。
が、理屈で分かっても、実感として腑に落ちてこない。
カタカナがやたら多いのも要因かもしれませんが、具体的にどういうことなのか、自らの体験を基に言えることがない。
というのが、正直なところで、こうした視点は私には無かったのだな、ということが分かりました。
それが、この章を読み解くのに苦労した一因かもしれません。
自分の身に置き換えて考え、本を読むなどして、もう少し情報を得ることが必要な様です。
老後資金をいかにするか
これまでの日本の労働形態は、一般的に終身雇用制度が採用されていると言われていました。
こうした制度は、すでに瓦解していると言われて久しいですが、それに伴い老後の生活費をどの様に捻出するかも課題となっています。
ひと世代前には、安定した雇用と、年功序列の給与体系により、老後資金も一定水準までは確保できていました。
しかし、労働形態が変化し、人生100年時代と言われて老後も長くなっています。
この様な現状を踏まえて、橘氏は以下の様に我々に問いかけます。
20歳から 60歳まで働いて積み立てた原資で 、 100歳までの 40年間の生活が保証されるなどという夢のような話がほんとうにあるので しょうか 。
ない。
もはや断言できるほどのレベルです。
つまるところ、これまでのように保証された老後がないことが、漠然とした不安に繋がっています。
しかし、老後の不安の原因は、現役を終えた後の時間が長いことであり、可能な限り現役でいること。
老後を短くすることが解決策であると橘氏は述べています。
これまで私は、組織に所属し、定年が来たら退職するものだという固定観念に囚われていました。
ですので、「60歳で定年だろうか…、せめて65歳まで働かせて貰えないだろうか.…」などと思案していました。
しかし、65歳でも70歳でも、80歳でも働ける環境を構築しようと考えれば、受身ではなく、主体性をもって働くことを捉えることができます。
思えば単純なことでしたが、私には目から鱗の発想でした。
まとめ
老後を短くすれば、老後不安は減少する。
当たり前のことではありますが、的を得ています。
しかし、そのためには「好きなこと」を仕事にする必要があると述べられています。
難しいことですが、自分が好きだと思う要素を分析し、抽象化しておくことは、様々なことへ適応できうるかと思います。
また、「好きなこと」を見つけるためには、様々なことに挑戦し、トライアンドエラーを繰り返す姿勢が必要かと思います。
その上で、マネタイズできるニッチを見つける。
私は、この点において語れることがないことに気づかされました。
今後の課題として自覚できたので、良かったと思います。
私は、この章を読むことにより、80歳まで働き収入を得つつ、自己実現を果たすニッチを探していくことが一つの目標となりました。
【読書】幸福への値段はいくら?年収と資産で考える。【幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」】
橘玲さんの「幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」」を読みました。
私にとって、示唆に富んだ本だったので、より理解を深めるために、章ごとにまとめることとしています。
プロローグの記事はこちらです。
繰り返しになりますが、本書では幸福の条件として、以下の3つを挙げています。
- 自由
- 自己実現
- 絆
今回の章においては、自由を獲得する手段として金融資産を持つ意義が語られていました。
- 雇用されることで生計をたて、家族を養っている方。
- 経済的自由を得るための年収や資産の最低ラインを知りたい方。
- 自分の幸せを定義を確立しようとされている方
上記のような方に参考になる内容かと思います。
自由のための金融資産
- 金融資産を得ることは、経済的自由を獲得することであり、確実に幸福度が高まる方法である。
- しかし一方で、金融資産で得られる幸福度にも限界がある。
- しかも現在は、マイナス金利の世界であり、人的資本を活用することの方が有効かつ重要である。
以上が、この章で述べられている要点であると私は解釈しました。
経済的自由とは
国家にも、会社にも、家族にも依存せず、自由に生きるのに十分な資産を持つこと
橘さんは、経済的自由を上記の様に定義しています。
たしかに、如何なる組織・共同体にも依存せずに自由を獲得するためには、金融資産は必須です。
現金、株、不動産などなどを、多くの人が求め、増やそうとしているのは、それが無い事による制限を解除したいからに他なりません。
しかも、銀行や証券口座などの数字が増えた、減ったと可視化できるため、非常に分かりやすく、キャッチーです。
もちろん私も、自分の資産がどの程度あるかは、毎日チェックし、如何に増やすかを思案しています。
限界効用の逓減とは
しかし、「じゃあどれくらいあればいいの?」という疑問も湧くかと思います。
あればあるだけ良いのかもしれませんが、現実的にそういう訳にはいきません。
本書においては、
嬉しいことも悲しいことにもいずれ慣れてしまう、ヒトの心理に基づく普遍的な法則
として「限界効用の逓減(ていげん)」に関して述べられています。
そして、ある研究によれば、以下の条件までは幸福度は高まるそうです。
- 個人年収800万円
- 世帯年収1500万円
- 金融資産1億円
しかし、年収・資産が上記の額を超えてしまうと、限界効用の逓減に基づいて幸福度に大差はなくなってしまうと。
ひとつの目安にはなるかと思いますが、私は少し失望しました。
自分には、経済的自由を得られることはないのだと確信したからです。
橘さんは、日本のサラリーマンが生涯受け取る収入は平均的に3億であることから、夫婦それぞれで15%を貯蓄に回すことで、資産1億を築くことは可能だと述べています。
それは自己責任の範囲で可能であり、であるから残酷だとも。
やや暴論ですが、理屈では可能に思えます。
しかし、私にはこの方法はとれません。
そもそものキャリアが、大卒から企業に就職して働き続けるサラリーマンとは異なるからです。
詳細は別に譲りますが、社会に出て働き出したのが29歳の頃なので、それだけで生涯収入は3億に届くはずがありません。
とはいえ、割り切ることもできました。
届かないなりに目指せば、年収や資産が増えるだけ幸福度が高まるのでしょうが、際限なく目指す訳にもいきません。
届かないものを、無闇に目指して疲弊するのはゴメンです。
限界を見据えることが必要で、それをどこに設定するのかは私次第。
であれば、現実的には以下を目標の目安とするのが良いのではないかと考えました。
- 生活防衛資金
一般的に、もし万が一のことがあった時のために、一定額の貯蓄は必要と言われています。
その金額は、諸説ある様ですが、ひと月の生活費の3〜6ヶ月分。
- 子供の教育費
子供の教育費は、まず私大文系の学費を目安として300万。
そのほか、高校から私立を選ぶ場合、留学を望んだ場合などが検討事項として加わります。
また、子供の人数も考慮すべきでしょう。
- 老後の資金
国民年金と厚生年金で、平均月額20万弱の額が支給されている様です。
妻の国民年金分も加えるともう少しあるかもしれません。
しかし、平均的な老後の生活費は30万弱かかるらしいとの情報があります。
つまり、月額約10万×12ヶ月×退職から死亡するまでの年数程度は必要になると考えられ・・・。
もう少し詳細なデータは、調べればスグに分かると思います。
その点の理解も私には必要であることがハッキリしました。
- 収入の分散など
その他に金融資産を持つ意味としては、収入の分散という観点からも重要と言えそうです。
個人的には、現在の年収が職種としてはMax以上なのではないか、という印象。
つまり、今現在の職場であるからこそ確保されている額であると考えています。
いい職場と言えば、いい職場ではありますが、その年収を保つためだけにひとつの職場に縛られてしまうことこそがリスク。
完全なる自由でなくとも、金融資産からインカムゲインが数万円得られるだけでも、その縛りは緩くなるはず。
「卵は一つのカゴに盛るな」は、投資の格言ですが、収入の分散もリスク回避の方法となります。
また、将来的に介護離職のリスクへの備えにもなり得えると考えられます。
つまり、完全なる経済的自由は得られないまでも、フィナンシャルリテラシーを高め、こうした資金を効率よく増やしていくことは必要であることがハッキリしました。
マイナス金利の世界
さらに橘さんは続けます。
現在はマイナス金利の世界であると。
それは、投資家が株や不動産には、お金を投じる価値がないと考えていて、インフラとしての金融資産の価値が減少していることを意味しており、逆を言えば、その他の資産の重要度が増しているという意味でもあると。
マイナス金利の世界では、賢い人は利潤を最大化するために、金融資産一本よりも、人的資産を有効活用する、すなわち「働く」のです。
と、述べ、それでも金融資産に投資するならと、幾つか具体的な方法を挙げています。
このいくつか挙げられた具体的な方法は、本書に譲りますが、やはりその方法の良し悪しを自ら判断できるリテラシーは必要であることをあらためて思います。
また、この章を読んだことにより、生涯現役を目指すことが、私にとって幸福へ近づく手段であるとの考えに至ることができました。
まとめ
金融資産を持つことは、確実に幸福度を高めるのは確かです。
その事実は疑いようがない。
しかし、完全なる経済的自由は、私には手の届かないところにあるものだとも思い知らされました。
まずは実現可能なレベルで、金融資産を持ち、そのために必要なリテラシーを高めることが重要です。
負けおしみでしかありませんが、経済的独立を果たした先に得た自由の先に何があるのか。
何のために自由を得ようとするのか、その目的をハッキリさせておくことも必要でしょう。
なんにせよ、届かないものを求めて疲弊したくはありません。
人的資本を高め、生涯現役であること。
これが私の幸福への道筋。
ここまで読んだ段階では、そのように思った次第。
夢も希望もないかもしれませんが、幸いにも私は、今の仕事を楽しいと感じているので、この決断は前向きなものと断言できます。
そして、断言できることは、あらためて幸せなことだと実感することができました。
【読書】「人生の勝算」を読んで、ジョブズの名言が理解できた話
前田裕二さんの「メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)」が人気です。
日頃、モレスキンの使い方を思案している私としては、とても興味があります。
とは言え、「メモ、手帳、ノートの使い方」みたいな本は、何冊か読みましたが、イマイチしっくりこない。
参考にはなりますが、結局自分のライフスタイルに合わせて、試行錯誤を繰り返していくしかないかなと。
だから、売れているからといって、飛びついてしまうのは、どーかなと思ってしまいます。
とは言え、そもそもとして前田裕二さんとはどの様な方なのかな、という興味は湧きました。
若くして起業され、ときおりメディアを賑わせています。
人となりを、多少知ってから「メモの魔力 The Magic of Memos」を買うか判断しても遅くはあるまいと。
そんな訳で、まずは処女作である「人生の勝算 」から読んでみることにしました。
Amazonの内容紹介より
今、最も注目される若き起業家が生きていくための路上ライブで身につけた人生とビジネスの本質をすべて明かす―。
SNS時代を生き抜く為に必要な〝コミュニティ〟とは何か。
SNSの次の潮流である、ライブ配信サービスの最前線はどこか。アーティスト、アイドル、モデルなどの配信が無料で視聴・応援できる。そして、誰でも配信者になれる。画期的な仮想ライブ空間の「SHOWROOM」を創り出した前田裕二の全思考。
前田裕二の自伝
大まかに言えば、自伝的書籍です。
自らの半生で起きたエピソードと、それに対してどの様に考え、対応してきたのか。
特に幼少期に路上で弾き語りをして稼ぐ、「白いパラソル」のエピソードは、とても興味深く読めました。
起こっている現象を客観化し、対応策を考え、実行する。
当たり前と言えば当たり前の過程ですが、小学生の頃から実践し、1人のお客さんから10000円を支払って貰った話は、関心せざるを得ませんでした。
第1章では、この様な事象を客観化・言語化・汎化されています。
そして、SNSの運用に関して必要なことを説いています。
しかし、これはSNSに限らず、一般的なサービス業にも応用できますし、私の働く医療・介護業界においても適応できる考え方であると思われました。
その後は、ご自身の半生を振り返りつつ、就職後から、現在運営されているSHOWROOM設立までの過程や、SHOWROOMの作り出す世界像を述べておられ、刺激的な内容です。
スティーブジョブズの名言を理解する
また個人的には、この本を読むことによって、「しないことを決める」という言葉の意味が、自分の中でシックリきました。
スティーブジョブズは、以下のように言っています。
“何をしないか決めることは、何をするか決めるのと同じくらいに重要だ”
(”Deciding what not to do is as important as deciding what to do.” )
正直、私にはこのフレーズの重要性が理解できませんでした。
「何をしないか決めること」と言われても、「行動しない」のであれば、あえて決めなくてもいいのではないか。
なぜ、「決めなくても」いいことを、わざわざ「決める」必要があり、それが重要なのか。
それに類することで、「人生の勝算」にはこの様に記されていました。
そのときに、自分にとって大切なことを選び、決めていないと、自分以外の他者の幸せが羨ましくて仕方なくなるかもしれません。
選ぶ、ということは、同時に、何かを捨てることです。
何かを得ようと思ったら、他の何かを犠牲にしないといけない。
人生の質を高めるのは、選択と集中です。
(p.155~156)
この文章を読んで、この言葉には前提条件があるのだと気づかされました。
それは、「何をするか決める」にしても、「何をしないか決める」にしても、自分の「大切なこと」に基づいて選択する必要があるということです。
そうすることにより、重要な事と、重要でない事が判別でき、「何をするか」が決まり、一方で「何をしないか」も決まります。
どちらも表裏一体のものであるということ。
例えば、個人的なことですが、私はつい先日まで車を購入するかどうか迷っていました。
これまでは必要ないと考えておりましたが、子どもが産まれたことにより、必要性を感じる場面が多くなったからです。
手元にあり、いつでも好きな時に、好きなように使えることは、どんなにか便利であるだろうと考えるようになりました。
しかし、購入しないことを決断。
なぜなら、車を所有することは私にとって、負債を増やすことになると考えたからです。
現金一括購入ができればよいですが、ローンを組まねばなりません。
車自体の価格・金利に、さらに維持費を考えると、車を所有することは負債を所有することとイコールです。
私はこれからの人生において、労働で得られる収入で、可能な限り資産の割合を増やすことに決めています。
ということは、可能な限り負債を持たないことの裏返しでもある訳で、そのことにより車を購入しないという決断が導き出されます。
この場合に大切なのは、「資産の割合を増やすこと」を決めているということです。
「原理原則」「価値判断基準」を考え、言語化していることが前提となっていることが分からなかったので、ジョブズの言葉を表面的に眺めていた私には、理解のできないものだった訳です。
そのことが、やっと理解できました。
「やらないことを決める」
「選択と集中」
こうした言葉は、よく耳にしますが、本質的な意味が良く分かっておりませんでした。
こうした「原理原則」「価値判断基準」のことを、前田さんは「人生のコンパス」と表現しています。
就職活動に限らず、実りある人生を生きる上で、コンパス、つまり、自分は何を幸せと定義し、どこへ向かっているのかという価値観の言語化は、必要不可欠です。
(p.149)
「自らの幸せの定義化」「価値観の言語化」がなされているからこそ、選択ができ、選択できるからこそ、することが決まり、しないことが決まる。
ジョブズの名言は、この点に関する重要性を述べていたのだということが理解できました。
まとめ
美人女優と付き合う新進気鋭の若手社長。
メディアでの取り上げられ方では、上記のような画一的な印象を受けました。
しかし、実際に本を読んだみると、まったく異なる印象を受けました。
論理的思考過程を経て、なおかつ人間の心の機微も捉えたうえで、行動する。
しかも、その行動は泥臭く、圧倒的。
ありきたりの言葉ですが、芯の通った方だなぁと思わされました。
もちろん、頑なな印象や勢い、若さ故の点も見え隠れしますが、それも含めて魅力的に映ります。
前述しましたが、幸せを定義づけするだけでなく、その言語化が必要であるとも仰っています。
では、どのように言語化するのか…といった疑問を持ってしまった今、「メモの魔力 -The Magic of Memos- 」は、どのような本なのでしょう。
非常に興味深く、読んでみたいと思わされました。
また、そもそも私の自身の人生の「原理原則」「価値判断基準」とは何なのか、ということを改めて考えるキッカケをもたらせてくれました。
「 人生の勝算 」。
良い本だったと思います。
【読書】林先生が初耳学で高学歴ニートに語ったこと【林修の仕事言論】
林修先生の「林修の仕事原論」を読みました。
Amazonの内容紹介から。
大人気予備校講師であるかたわら、「今でしょ! 」のひと言をきっかけに、流行語大賞受賞、テレビ番組のMC抜擢など大ブレイクした林修先生。どんな環境でも結果を残してきたその裏には、さまざまな経験によって磨かれた仕事哲学があった! 「真の人脈は仕事を通してしか広がらない」「一発逆転が必要な状況をつくらない」など、仕事について考えるすべての人に贈る珠玉のメッセージ。
毎日の様にテレビに出ている林先生。
博学で、分かりやすく解説してくれて、ウィットに富んだ語り口。
大人気ですね。
先日、テレビで初耳学を見ていたら、高学歴であるにもかかわらず、定職に就かないニートたちに、働き方に関して興味深いことをお話ししていました。
もう少し深く、それに関する考えを聞いてみたいなと思い、この本を手にした次第。
大してやりたくもないと思う仕事に対して、どの様に向き合うのか、参考になりました。
仕事はやりたいことばかりではない
仕事をする上で、やりたいことだけできたらいいなぁ、とは誰しも思うことではないでしょうか。
好きなことだけしていたい。
それで飯が食えるなら、何も言うことはありません。
少なくとも、私はそう思うことが割とあります。
でも、そんなことはまずありません。
大抵の仕事は、やりたくないことだったりします。
「ちょっとヤダな」とか、「できれば避けたい」、そんな風に思う仕事ばかり。
そもそも会社だったり、組織に所属する限りは、その場所に求められていることをするのが仕事です。
やりたいこと「だけ」します、なんて理屈は通りませんし、そんなことを言えばスグにお払い箱です。
「まぁ、仕事なんてそんなもの。」
そんな風に割り切ってしまえれば、楽は楽なんでしょうけど、そうもいかないのが人情です。
なによりそういった考え方は、仕事に対して受け身になってしまい、なかなか良い成果はあがりません。
成果があがらなければ、余計に苦手意識は増してしまいます。
1日の3割くらいの時間を仕事に費やしているわけですから、できれば前向きに取り組める方が理想です。
では、どう考えるか。
「やりたい・やりたくない」と「できる・できない」
まず軸を2つ作ります。
「やりたい・やりたくない」と「できる・できない」。
この図の①の「やりたい・できる」領域が仕事だったら、何も文句はない訳です。
誰もがそうあって欲しいと思っていますが、そんな仕事は稀です。
③の様に「やりたくない・できない」場合は、最低ですが、実はこれも稀です。
そもそも、できない仕事は振られません。
だいたい、できそうだから依頼がくるのです。
それでも、こうした仕事を受けざるを得ないのであれば、考えなおすべきであるのは、ハッキリしています。
そんな訳で残りは④の「やりたい・できない」と②の「やりたくない・できる」の場合。
④の領域は、下手の横好きなんて言葉がありますが、趣味的ですね。
でも、仕事の話をしているので…。
やりたいという気持ちがあっても、成果が出なければ仕事では評価されません。
評価されないこと、そのこと自体もつらいことです。
仕事への姿勢は、やりたくないことをしてるのと同じ様に、後ろ向きになってしまうのではないでしょうか。
だんだんと、やりたかったことが、やりたくないことへ変わっていく。
そんなことが普通に起こると思います。
②の「やりたくない、できる」は、実は仕事をするうえで、最も多くの場合に当てはまるのではないでしょうか。
前述したように、だいたいの仕事は「できる」だろうと思われているので、依頼されるのです。
そして、例え一時的にできなかったとしても、繰り返し取り組むことで、できなかったことが、「できる」に変わることも良くあります。
林先生は、本書の中でこう述べています。
その分野が自分に適性があり、勝てる場所だと認識し、その技術やサービスに対して払われるお金に責任をとる。
責任をとることに対してプライドを保てる。
それが、僕の考えるプロフェッショナルであり、僕の「仕事観」です。
つまり、「できる」時点で適性がある訳ですから、あとは場がふさわしいかどうかを判断し、責任を持って取り組む。
そうすることによって、尊厳が保てることが林先生の仕事観なのかなと、私は解釈しました。
「うまくいく仕事」が天職
とも仰っているので、やりたいかどうかは二の次なんですよね。
仕事の一面は、自らの人的資本を市場に投下し、給与などのリターンを得ることです。
であるならば、そのリターンが最大化する様に行動することが最も効率が良い訳で。
そう考えると、林先生のおっしゃることに合点がいくのでした。
まとめ
私は、実はこの本の読み始めてガッカリしました。
仕事に対する姿勢に関しては、テレビで話されていたほうが、ボリュームがあったように感じたので…。
本としては、様々なトピックスが散りばめられていて、話題は豊富ではあるのですが、それぞれが浅いと感じるのです。
林先生ほどの方であれば、一つのトピックスだけでも数冊の本が書けるのではないか・・・。
そんなことを思いながら読みすすめていくと、こんなことが書いてありました。
この書は、(中略) みなさん自身に考えてもらって、みなさん自身の「仕事観」の確立に向けた「考えるヒント」となることを目指しました。
脱帽です。
「考えるヒント」程度であれば、深掘りする必要はありません。
狙いをもって、こうしたトピックスを散りばめる体裁をとっていたのです。
私の当初の目的とは異なる内容ではありましたが、林先生の物事の捉え方の一端に触れることができ、参考にはなりました。
また一から読みなおすことで、初回とは異なる気づきがありそうです。
もう一つ、知りませんでしたが、林先生はギャンブラーなのですね。
帯にもある様に、仕事を「勝ち負け」で考える。
だからこそ、「うまくいく仕事」が天職とおっしゃるのでしょう。
そういう視点からみると、テレビで受ける印象とは裏腹に、尖った主張をされています。
例えば、自分のことを「ただの凡人」と述べる人には、「言い訳」「自分を甘やかしている」と書かれています。
至極正論ですが、あまり真っ正面から切って捨てる様には見えなかったので、やや意外でした。
こうしたシビアな考え方が、仕事への姿勢となり、実績につながり、評価され、今の人気に表れている。
様々な学びのある本かなと思います。
小気味良い文章で、あっという間に読めてしまいます。
ぜひ一度、手にとって読んでみてください。
人生100年時代を生きるために必要な人的資本とは
最近、人的資本としての自分自身は、どうあるべきかを考えております。
人的資本とは、簡単に言うと、個人の稼ぐ力。
つまり、私自身が稼ぐ力をつけるにはどの様にすれば良いのか。
稼ぐ力とは、どの様なものなのか。
そんなことを思案している訳です。
そんな時、山崎元さんの記事が目に留まりました。
詳細は、記事をご覧になっていただきたいのですが、私は記事を読んで以下の様にツイートしました。
山崎元さんが、人的資本に関して考察されたもの。
— NgtRPT (@NgtRpt) 2019年1月22日
興味深い点があったので、記録としてツイート。
【働くスキルと機会、そして健康と働く意欲の確保は、高齢期にあって大変重要だ。】
という一文に、深く合点がいくのでした。 https://t.co/AISZSuklBI
山崎元さんが、人的資本に関して考察されたもの。
興味深い点があったので、記録としてツイート。【働くスキルと機会、そして健康と働く意欲の確保は、高齢期にあって大変重要だ。】
という一文に、深く合点がいくのでした。
この時は、この一文に感じるものがあったのですが、考え直してみると、どれも大事であるが、さらに優先順位がある様に思われました。
その点に関して深めていこうと思います。
まず、「働くスキルと機会」と「健康と働く意欲」は、それぞれがセットである様に思われました。
「働くスキルと機会」
そこで、まず「働くスキルと機会」に関して考えます。
働くスキルの有無と働く機会の有無に関して、場面を分けます。
つまり、以下の4つのパターンが考えられるかと思われます。
- 「スキル有り・機会有り」
- 「スキル無し・機会有り」
- 「スキル無し・機会無し」
- 「スキル有り・機会無し」
1は、両方持ち合わせているので、何も問題ありません。
3の様に両方無い場合は、どちらかは必要となりますが、ではどちらが優先度が高いでしょうか。
その問いに対して、2と4の場合を考えると答えが出るように思われます。
一般的には、人的資本として自らの稼ぐ力を向上させようとするなら、働くスキルを身につけることを考えます。
その場合、4のパターンが優先度が高いと思われますが、一方でスキルを発揮する機会が無ければ、そのスキルは存在しないも同然です。
せっかく身につけたスキルも、まるで意味がないのでは無いでしょうか。
ですから、優先順位としては、まず働く機会を持とうとすることが必要だと言えるかと思われます。
ここで、「イヤイヤ待て待て、そもそもスキルが無ければ、働く機会すら持てないんじゃ無いの??」と言った声が聞こえてきそうです。
私もそう思います。
でも、よく考えると、働くスキルを身につけるよりも、働く機会を模索することの方を優先すべきなのではないか…。
何故なら、「働く機会」を持とうとすることとは、相手が自分に何を求めているかを、考えることになるから。
闇雲にスキルを磨くことで、結果的に働く機会を持つこともあるかもしれません。
しかし、確実性を高めるのであれば、市場調査は必要でありますし、その方が結果的に多く稼げるはずです。
それはまた、言い換えると社会との接点を持つことであるとも言え、社会資本を手にすることである、とも言い換えられるのではないか。
そして、相手が何を望んでいるかを考える事とは、マーケティングでもあるため、マーケティングスキルを高めることともなります。
つまり、逆説的ではありますが、人的資本を高めるためには、社会資本を持とうとすることが、結果的に人的資本をも高め得る、と言えそうです。
「健康と働く意欲」
次に「健康と働く意欲」に関して同様に考えます。
- 「健康で意欲が有る」
- 「不健康で意欲が有る」
- 「不健康で意欲が無い」
- 「健康で意欲が無い」
両者の伴う1は、問題ありません。
両者の無い3の場合、どちらを優先するか。
これに関しては、論ずるまでもなく「健康」と私は考えます。
基本的に人は、行動することによりヤル気が引き出されると脳科学でも言われています。
例えば、仕事の課題に対してヤル気が出ない場合においても、まず行動し、身体を動かすことにより、後からヤル気はついてくるとのこと。
ですので、まず身体の健康ありきです。
とはいえ、風邪をひいても気力で乗り切る、みたいな昭和的な仕事への取り組み方もあるでしょう。
それも大事な時はあります。
でも、長続きはしません。
しかも、今回のように「人生100年時代を生きるために」という論点からすれば、長期的な視点で語った方が良いかなと思うので。
まとめ
今回、私はこのように考えることで個人的な気づきがありました。
それは、あまりに仕事に対して独善的な取り組み方をしていたのかもしれないということ。
つまり、スキルを高めることばかり考えていたなと自覚しました。
具体的な例を挙げるならば、「呼吸療法認定士」の認定を受けたことは、コレにあたるでしょうか。
現在の職場で、この認定を受けていることが収入に直結したり、評価が伴うことはありません。
実は、対象となる患者さんも現在の職場では、あまりいらっしゃいません。
もちろん、認定を受けるために学んだことは有益であると思いますが、職場のニーズに沿っていたかと考えると疑問です。
相手が、自分に何を求めているかを考えていたかどうか。
仕事をするうえで、「相手」は無数に存在します。
例えば、私は理学療法士で、まず仕事の対象としては患者さんや利用者さんが思い浮かびますが、視野を広げれば他にも沢山いるわけです。
- 医者
- 同僚
- 他職種
- 家族
- 保険制度
ザっと思いつくだけでも、これだけの仕事相手がいます。
もしかしたら、自分自身の家族すらもそうかもしれません。
こうした人たちの、思いや願いを汲み取って、仕事としての成果を考える。
この様な視点が欠けていたと自戒しました。
すでに、こうした視点をもって働いている方には意味がないかもしれませんが、今回の考察は私には意義あるものでした。
また、マーケティングにも興味が湧いてきたので、手始めに以下の入門書を読んでみようと思うのでした。