【読書】「人生の勝算」を読んで、ジョブズの名言が理解できた話
前田裕二さんの「メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)」が人気です。
日頃、モレスキンの使い方を思案している私としては、とても興味があります。
とは言え、「メモ、手帳、ノートの使い方」みたいな本は、何冊か読みましたが、イマイチしっくりこない。
参考にはなりますが、結局自分のライフスタイルに合わせて、試行錯誤を繰り返していくしかないかなと。
だから、売れているからといって、飛びついてしまうのは、どーかなと思ってしまいます。
とは言え、そもそもとして前田裕二さんとはどの様な方なのかな、という興味は湧きました。
若くして起業され、ときおりメディアを賑わせています。
人となりを、多少知ってから「メモの魔力 The Magic of Memos」を買うか判断しても遅くはあるまいと。
そんな訳で、まずは処女作である「人生の勝算 」から読んでみることにしました。
Amazonの内容紹介より
今、最も注目される若き起業家が生きていくための路上ライブで身につけた人生とビジネスの本質をすべて明かす―。
SNS時代を生き抜く為に必要な〝コミュニティ〟とは何か。
SNSの次の潮流である、ライブ配信サービスの最前線はどこか。アーティスト、アイドル、モデルなどの配信が無料で視聴・応援できる。そして、誰でも配信者になれる。画期的な仮想ライブ空間の「SHOWROOM」を創り出した前田裕二の全思考。
前田裕二の自伝
大まかに言えば、自伝的書籍です。
自らの半生で起きたエピソードと、それに対してどの様に考え、対応してきたのか。
特に幼少期に路上で弾き語りをして稼ぐ、「白いパラソル」のエピソードは、とても興味深く読めました。
起こっている現象を客観化し、対応策を考え、実行する。
当たり前と言えば当たり前の過程ですが、小学生の頃から実践し、1人のお客さんから10000円を支払って貰った話は、関心せざるを得ませんでした。
第1章では、この様な事象を客観化・言語化・汎化されています。
そして、SNSの運用に関して必要なことを説いています。
しかし、これはSNSに限らず、一般的なサービス業にも応用できますし、私の働く医療・介護業界においても適応できる考え方であると思われました。
その後は、ご自身の半生を振り返りつつ、就職後から、現在運営されているSHOWROOM設立までの過程や、SHOWROOMの作り出す世界像を述べておられ、刺激的な内容です。
スティーブジョブズの名言を理解する
また個人的には、この本を読むことによって、「しないことを決める」という言葉の意味が、自分の中でシックリきました。
スティーブジョブズは、以下のように言っています。
“何をしないか決めることは、何をするか決めるのと同じくらいに重要だ”
(”Deciding what not to do is as important as deciding what to do.” )
正直、私にはこのフレーズの重要性が理解できませんでした。
「何をしないか決めること」と言われても、「行動しない」のであれば、あえて決めなくてもいいのではないか。
なぜ、「決めなくても」いいことを、わざわざ「決める」必要があり、それが重要なのか。
それに類することで、「人生の勝算」にはこの様に記されていました。
そのときに、自分にとって大切なことを選び、決めていないと、自分以外の他者の幸せが羨ましくて仕方なくなるかもしれません。
選ぶ、ということは、同時に、何かを捨てることです。
何かを得ようと思ったら、他の何かを犠牲にしないといけない。
人生の質を高めるのは、選択と集中です。
(p.155~156)
この文章を読んで、この言葉には前提条件があるのだと気づかされました。
それは、「何をするか決める」にしても、「何をしないか決める」にしても、自分の「大切なこと」に基づいて選択する必要があるということです。
そうすることにより、重要な事と、重要でない事が判別でき、「何をするか」が決まり、一方で「何をしないか」も決まります。
どちらも表裏一体のものであるということ。
例えば、個人的なことですが、私はつい先日まで車を購入するかどうか迷っていました。
これまでは必要ないと考えておりましたが、子どもが産まれたことにより、必要性を感じる場面が多くなったからです。
手元にあり、いつでも好きな時に、好きなように使えることは、どんなにか便利であるだろうと考えるようになりました。
しかし、購入しないことを決断。
なぜなら、車を所有することは私にとって、負債を増やすことになると考えたからです。
現金一括購入ができればよいですが、ローンを組まねばなりません。
車自体の価格・金利に、さらに維持費を考えると、車を所有することは負債を所有することとイコールです。
私はこれからの人生において、労働で得られる収入で、可能な限り資産の割合を増やすことに決めています。
ということは、可能な限り負債を持たないことの裏返しでもある訳で、そのことにより車を購入しないという決断が導き出されます。
この場合に大切なのは、「資産の割合を増やすこと」を決めているということです。
「原理原則」「価値判断基準」を考え、言語化していることが前提となっていることが分からなかったので、ジョブズの言葉を表面的に眺めていた私には、理解のできないものだった訳です。
そのことが、やっと理解できました。
「やらないことを決める」
「選択と集中」
こうした言葉は、よく耳にしますが、本質的な意味が良く分かっておりませんでした。
こうした「原理原則」「価値判断基準」のことを、前田さんは「人生のコンパス」と表現しています。
就職活動に限らず、実りある人生を生きる上で、コンパス、つまり、自分は何を幸せと定義し、どこへ向かっているのかという価値観の言語化は、必要不可欠です。
(p.149)
「自らの幸せの定義化」「価値観の言語化」がなされているからこそ、選択ができ、選択できるからこそ、することが決まり、しないことが決まる。
ジョブズの名言は、この点に関する重要性を述べていたのだということが理解できました。
まとめ
美人女優と付き合う新進気鋭の若手社長。
メディアでの取り上げられ方では、上記のような画一的な印象を受けました。
しかし、実際に本を読んだみると、まったく異なる印象を受けました。
論理的思考過程を経て、なおかつ人間の心の機微も捉えたうえで、行動する。
しかも、その行動は泥臭く、圧倒的。
ありきたりの言葉ですが、芯の通った方だなぁと思わされました。
もちろん、頑なな印象や勢い、若さ故の点も見え隠れしますが、それも含めて魅力的に映ります。
前述しましたが、幸せを定義づけするだけでなく、その言語化が必要であるとも仰っています。
では、どのように言語化するのか…といった疑問を持ってしまった今、「メモの魔力 -The Magic of Memos- 」は、どのような本なのでしょう。
非常に興味深く、読んでみたいと思わされました。
また、そもそも私の自身の人生の「原理原則」「価値判断基準」とは何なのか、ということを改めて考えるキッカケをもたらせてくれました。
「 人生の勝算 」。
良い本だったと思います。