【読書】林先生が初耳学で高学歴ニートに語ったこと【林修の仕事言論】
林修先生の「林修の仕事原論」を読みました。
Amazonの内容紹介から。
大人気予備校講師であるかたわら、「今でしょ! 」のひと言をきっかけに、流行語大賞受賞、テレビ番組のMC抜擢など大ブレイクした林修先生。どんな環境でも結果を残してきたその裏には、さまざまな経験によって磨かれた仕事哲学があった! 「真の人脈は仕事を通してしか広がらない」「一発逆転が必要な状況をつくらない」など、仕事について考えるすべての人に贈る珠玉のメッセージ。
毎日の様にテレビに出ている林先生。
博学で、分かりやすく解説してくれて、ウィットに富んだ語り口。
大人気ですね。
先日、テレビで初耳学を見ていたら、高学歴であるにもかかわらず、定職に就かないニートたちに、働き方に関して興味深いことをお話ししていました。
もう少し深く、それに関する考えを聞いてみたいなと思い、この本を手にした次第。
大してやりたくもないと思う仕事に対して、どの様に向き合うのか、参考になりました。
仕事はやりたいことばかりではない
仕事をする上で、やりたいことだけできたらいいなぁ、とは誰しも思うことではないでしょうか。
好きなことだけしていたい。
それで飯が食えるなら、何も言うことはありません。
少なくとも、私はそう思うことが割とあります。
でも、そんなことはまずありません。
大抵の仕事は、やりたくないことだったりします。
「ちょっとヤダな」とか、「できれば避けたい」、そんな風に思う仕事ばかり。
そもそも会社だったり、組織に所属する限りは、その場所に求められていることをするのが仕事です。
やりたいこと「だけ」します、なんて理屈は通りませんし、そんなことを言えばスグにお払い箱です。
「まぁ、仕事なんてそんなもの。」
そんな風に割り切ってしまえれば、楽は楽なんでしょうけど、そうもいかないのが人情です。
なによりそういった考え方は、仕事に対して受け身になってしまい、なかなか良い成果はあがりません。
成果があがらなければ、余計に苦手意識は増してしまいます。
1日の3割くらいの時間を仕事に費やしているわけですから、できれば前向きに取り組める方が理想です。
では、どう考えるか。
「やりたい・やりたくない」と「できる・できない」
まず軸を2つ作ります。
「やりたい・やりたくない」と「できる・できない」。
この図の①の「やりたい・できる」領域が仕事だったら、何も文句はない訳です。
誰もがそうあって欲しいと思っていますが、そんな仕事は稀です。
③の様に「やりたくない・できない」場合は、最低ですが、実はこれも稀です。
そもそも、できない仕事は振られません。
だいたい、できそうだから依頼がくるのです。
それでも、こうした仕事を受けざるを得ないのであれば、考えなおすべきであるのは、ハッキリしています。
そんな訳で残りは④の「やりたい・できない」と②の「やりたくない・できる」の場合。
④の領域は、下手の横好きなんて言葉がありますが、趣味的ですね。
でも、仕事の話をしているので…。
やりたいという気持ちがあっても、成果が出なければ仕事では評価されません。
評価されないこと、そのこと自体もつらいことです。
仕事への姿勢は、やりたくないことをしてるのと同じ様に、後ろ向きになってしまうのではないでしょうか。
だんだんと、やりたかったことが、やりたくないことへ変わっていく。
そんなことが普通に起こると思います。
②の「やりたくない、できる」は、実は仕事をするうえで、最も多くの場合に当てはまるのではないでしょうか。
前述したように、だいたいの仕事は「できる」だろうと思われているので、依頼されるのです。
そして、例え一時的にできなかったとしても、繰り返し取り組むことで、できなかったことが、「できる」に変わることも良くあります。
林先生は、本書の中でこう述べています。
その分野が自分に適性があり、勝てる場所だと認識し、その技術やサービスに対して払われるお金に責任をとる。
責任をとることに対してプライドを保てる。
それが、僕の考えるプロフェッショナルであり、僕の「仕事観」です。
つまり、「できる」時点で適性がある訳ですから、あとは場がふさわしいかどうかを判断し、責任を持って取り組む。
そうすることによって、尊厳が保てることが林先生の仕事観なのかなと、私は解釈しました。
「うまくいく仕事」が天職
とも仰っているので、やりたいかどうかは二の次なんですよね。
仕事の一面は、自らの人的資本を市場に投下し、給与などのリターンを得ることです。
であるならば、そのリターンが最大化する様に行動することが最も効率が良い訳で。
そう考えると、林先生のおっしゃることに合点がいくのでした。
まとめ
私は、実はこの本の読み始めてガッカリしました。
仕事に対する姿勢に関しては、テレビで話されていたほうが、ボリュームがあったように感じたので…。
本としては、様々なトピックスが散りばめられていて、話題は豊富ではあるのですが、それぞれが浅いと感じるのです。
林先生ほどの方であれば、一つのトピックスだけでも数冊の本が書けるのではないか・・・。
そんなことを思いながら読みすすめていくと、こんなことが書いてありました。
この書は、(中略) みなさん自身に考えてもらって、みなさん自身の「仕事観」の確立に向けた「考えるヒント」となることを目指しました。
脱帽です。
「考えるヒント」程度であれば、深掘りする必要はありません。
狙いをもって、こうしたトピックスを散りばめる体裁をとっていたのです。
私の当初の目的とは異なる内容ではありましたが、林先生の物事の捉え方の一端に触れることができ、参考にはなりました。
また一から読みなおすことで、初回とは異なる気づきがありそうです。
もう一つ、知りませんでしたが、林先生はギャンブラーなのですね。
帯にもある様に、仕事を「勝ち負け」で考える。
だからこそ、「うまくいく仕事」が天職とおっしゃるのでしょう。
そういう視点からみると、テレビで受ける印象とは裏腹に、尖った主張をされています。
例えば、自分のことを「ただの凡人」と述べる人には、「言い訳」「自分を甘やかしている」と書かれています。
至極正論ですが、あまり真っ正面から切って捨てる様には見えなかったので、やや意外でした。
こうしたシビアな考え方が、仕事への姿勢となり、実績につながり、評価され、今の人気に表れている。
様々な学びのある本かなと思います。
小気味良い文章で、あっという間に読めてしまいます。
ぜひ一度、手にとって読んでみてください。