【読書】幸福への値段はいくら?年収と資産で考える。【幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」】
橘玲さんの「幸福の「資本」論――あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つの人生パターン」」を読みました。
私にとって、示唆に富んだ本だったので、より理解を深めるために、章ごとにまとめることとしています。
プロローグの記事はこちらです。
繰り返しになりますが、本書では幸福の条件として、以下の3つを挙げています。
- 自由
- 自己実現
- 絆
今回の章においては、自由を獲得する手段として金融資産を持つ意義が語られていました。
- 雇用されることで生計をたて、家族を養っている方。
- 経済的自由を得るための年収や資産の最低ラインを知りたい方。
- 自分の幸せを定義を確立しようとされている方
上記のような方に参考になる内容かと思います。
自由のための金融資産
- 金融資産を得ることは、経済的自由を獲得することであり、確実に幸福度が高まる方法である。
- しかし一方で、金融資産で得られる幸福度にも限界がある。
- しかも現在は、マイナス金利の世界であり、人的資本を活用することの方が有効かつ重要である。
以上が、この章で述べられている要点であると私は解釈しました。
経済的自由とは
国家にも、会社にも、家族にも依存せず、自由に生きるのに十分な資産を持つこと
橘さんは、経済的自由を上記の様に定義しています。
たしかに、如何なる組織・共同体にも依存せずに自由を獲得するためには、金融資産は必須です。
現金、株、不動産などなどを、多くの人が求め、増やそうとしているのは、それが無い事による制限を解除したいからに他なりません。
しかも、銀行や証券口座などの数字が増えた、減ったと可視化できるため、非常に分かりやすく、キャッチーです。
もちろん私も、自分の資産がどの程度あるかは、毎日チェックし、如何に増やすかを思案しています。
限界効用の逓減とは
しかし、「じゃあどれくらいあればいいの?」という疑問も湧くかと思います。
あればあるだけ良いのかもしれませんが、現実的にそういう訳にはいきません。
本書においては、
嬉しいことも悲しいことにもいずれ慣れてしまう、ヒトの心理に基づく普遍的な法則
として「限界効用の逓減(ていげん)」に関して述べられています。
そして、ある研究によれば、以下の条件までは幸福度は高まるそうです。
- 個人年収800万円
- 世帯年収1500万円
- 金融資産1億円
しかし、年収・資産が上記の額を超えてしまうと、限界効用の逓減に基づいて幸福度に大差はなくなってしまうと。
ひとつの目安にはなるかと思いますが、私は少し失望しました。
自分には、経済的自由を得られることはないのだと確信したからです。
橘さんは、日本のサラリーマンが生涯受け取る収入は平均的に3億であることから、夫婦それぞれで15%を貯蓄に回すことで、資産1億を築くことは可能だと述べています。
それは自己責任の範囲で可能であり、であるから残酷だとも。
やや暴論ですが、理屈では可能に思えます。
しかし、私にはこの方法はとれません。
そもそものキャリアが、大卒から企業に就職して働き続けるサラリーマンとは異なるからです。
詳細は別に譲りますが、社会に出て働き出したのが29歳の頃なので、それだけで生涯収入は3億に届くはずがありません。
とはいえ、割り切ることもできました。
届かないなりに目指せば、年収や資産が増えるだけ幸福度が高まるのでしょうが、際限なく目指す訳にもいきません。
届かないものを、無闇に目指して疲弊するのはゴメンです。
限界を見据えることが必要で、それをどこに設定するのかは私次第。
であれば、現実的には以下を目標の目安とするのが良いのではないかと考えました。
- 生活防衛資金
一般的に、もし万が一のことがあった時のために、一定額の貯蓄は必要と言われています。
その金額は、諸説ある様ですが、ひと月の生活費の3〜6ヶ月分。
- 子供の教育費
子供の教育費は、まず私大文系の学費を目安として300万。
そのほか、高校から私立を選ぶ場合、留学を望んだ場合などが検討事項として加わります。
また、子供の人数も考慮すべきでしょう。
- 老後の資金
国民年金と厚生年金で、平均月額20万弱の額が支給されている様です。
妻の国民年金分も加えるともう少しあるかもしれません。
しかし、平均的な老後の生活費は30万弱かかるらしいとの情報があります。
つまり、月額約10万×12ヶ月×退職から死亡するまでの年数程度は必要になると考えられ・・・。
もう少し詳細なデータは、調べればスグに分かると思います。
その点の理解も私には必要であることがハッキリしました。
- 収入の分散など
その他に金融資産を持つ意味としては、収入の分散という観点からも重要と言えそうです。
個人的には、現在の年収が職種としてはMax以上なのではないか、という印象。
つまり、今現在の職場であるからこそ確保されている額であると考えています。
いい職場と言えば、いい職場ではありますが、その年収を保つためだけにひとつの職場に縛られてしまうことこそがリスク。
完全なる自由でなくとも、金融資産からインカムゲインが数万円得られるだけでも、その縛りは緩くなるはず。
「卵は一つのカゴに盛るな」は、投資の格言ですが、収入の分散もリスク回避の方法となります。
また、将来的に介護離職のリスクへの備えにもなり得えると考えられます。
つまり、完全なる経済的自由は得られないまでも、フィナンシャルリテラシーを高め、こうした資金を効率よく増やしていくことは必要であることがハッキリしました。
マイナス金利の世界
さらに橘さんは続けます。
現在はマイナス金利の世界であると。
それは、投資家が株や不動産には、お金を投じる価値がないと考えていて、インフラとしての金融資産の価値が減少していることを意味しており、逆を言えば、その他の資産の重要度が増しているという意味でもあると。
マイナス金利の世界では、賢い人は利潤を最大化するために、金融資産一本よりも、人的資産を有効活用する、すなわち「働く」のです。
と、述べ、それでも金融資産に投資するならと、幾つか具体的な方法を挙げています。
このいくつか挙げられた具体的な方法は、本書に譲りますが、やはりその方法の良し悪しを自ら判断できるリテラシーは必要であることをあらためて思います。
また、この章を読んだことにより、生涯現役を目指すことが、私にとって幸福へ近づく手段であるとの考えに至ることができました。
まとめ
金融資産を持つことは、確実に幸福度を高めるのは確かです。
その事実は疑いようがない。
しかし、完全なる経済的自由は、私には手の届かないところにあるものだとも思い知らされました。
まずは実現可能なレベルで、金融資産を持ち、そのために必要なリテラシーを高めることが重要です。
負けおしみでしかありませんが、経済的独立を果たした先に得た自由の先に何があるのか。
何のために自由を得ようとするのか、その目的をハッキリさせておくことも必要でしょう。
なんにせよ、届かないものを求めて疲弊したくはありません。
人的資本を高め、生涯現役であること。
これが私の幸福への道筋。
ここまで読んだ段階では、そのように思った次第。
夢も希望もないかもしれませんが、幸いにも私は、今の仕事を楽しいと感じているので、この決断は前向きなものと断言できます。
そして、断言できることは、あらためて幸せなことだと実感することができました。