【読書】あなたが株に投資する基準は何ですか?【知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ (PHP文庫) Kindle版】
【概要】
株式投資を検討しているので、読みました。
私は、著者の山口揚平さんの本を読むのは2冊目で、初めて読んだ本を参考に株を購入しました。
その本は、なぜか日本人が知らなかった新しい株の本というモノでしたが、今回の知ってそうで知らなかった ほんとうの株のしくみ (PHP文庫)は、「なぜか・・・」の本を改題し、再編集したものだそうです。
Amazonより。
「株式投資はギャンブルのようなもの」と思っていませんか? または「株価が好調なときにしか儲からないもの」と決めつけていませんか?初心者のみならず、長年株式投資をしている人でも、実は明確な指標、「投資のモノサシ」をもたずに感情の赴くままに売買を繰り返している人は多いのです。本当の企業の価値がわかれば、もう心を乱されることはなくなります。本書では、たった5分で「企業の価値」が計算できる、簡単な方法を紹介します。これができるようになれば、その会社の株価はいったいどれくらいが妥当なのか、現在の株価が価値に対して割安なのか、割高なのかがすっきりとわかります。体系的な知識にもとづいて確実に利益を積み上げてゆくにはどうすればよいかがわかる、一生使える株式投資のバイブルと言えるでしょう。
投資の原理原則を説いており、丁寧に書かれている良い本だなと思いました。
以下に要点を引用します。
【Key Paragraph】
第1章まとめ
- 胴元がいるかぎり 、ギャンブルは長期的には勝てない
- 生命保険はギャンブルと同じしくみ
- 利回り 、コスト 、手間 、投資先の有望度を見極められるか 、という点から考えると 、 100万円なら株式投資をするのが効率的
- 株式投資で儲けるしくみ
・基本は 「安く買って高く売る 」
・安く買うためには 「価値 」を知る必要がある
・株価が上がるのは 、割安な株が市場から評価されて 、その株本来の 「価値 」に近づくから- 人は 、論理ではなく感情で判断し行動するときに 、失敗を犯す。
第2章まとめ
- みんなが妥当と思う利回りのことを「期待利回り」という
- 価値はリスクと利回りで決まる
- 株価の下落は、より高い利回りを得られるチャンスを意味する
- 利回りの大きさ自体には何の意味もない
- 株も預金も本質的には同じもの
第3章まとめ
- 企業は丸ごと評価する
- 日本企業の価値を算定する際には、事業価値と財産価値を足す
- 事業価値は営業利益の10倍と見込む
- 財産価値は、流動負債の1.2倍を差し引いた部分の流動資産と、固定資産のうちの「投資その他の資産」を足す
- スクリーニング・ツールを使って割安株を絞り込む
第4章まとめ
- 「過去の結果」から「将来の結果」は生まれない
- 利益の源泉を見抜くには、次の4つの質問を考えるとよい
その企業は「なに」で稼いでいるのか?
「なぜ」稼げているのか?
今後、稼げるしくみに変化はあるか?
これから「いくら」稼げるのか?- 利益を上げている企業の勝ちパターンは、主に2つある
市場の魅力度
ビジネスモデルの有望度- 日本での有望な投資先は「小型割安成長株」
- 「良い会社」が必ずしも「良い投資先」とはかぎらない
第5章まとめ
- 株式投資とは、結局のところ、価値と価格の差を見抜くゲームである
- 価値と価格の差は、「情報格差」や「相場の機嫌(感情バイアス)」から生まれる
- 中長期的には、価値と価格の差は埋まる
- 価値と価格の差を埋める「ストーリー」を知ることで、早く利益を確定することができる
- 株の売却は、相対的に割安度の高い別の銘柄が見つかったときに行う
- 有望株とは、価値と価格の差が大きく、早くその差が埋まる銘柄のことである
第6章まとめ
- 根拠なき投資はバクチとなる
- 「儲けは確実に手にしたい、損はできるだけ帳消しにしたい」という感情の罠から損失は生じる
- 継続的投資をするつもりなら、冷静に確率論的見地から合理的な判断を下すべき
【感想】
私は投資で負けてはいません。
と言うと、ちょっとカッコいいですけど、厳密には、初めて購入した投資信託は、購入価格よりもだいぶ値を下げた時に売ってしまいました。
銀行の窓口で勧められ
→訳もわからず購入
→下落
→資金不足で売却
あらためて振り返ると典型的なダメな例ですね。
しかもその時は、積立ではなく一括購入。
愚か者です。
ただ、それからは独自に勉強して、なんとか売却益を出し、含み益を保持しています。
なので、トータルすれば負けていません。
原資が少ないので、お小遣い程度の利益しかありませんけど。
本から学んだことを実践し、得た経験と反省を感想を兼ねて買いていきます。
私の株式投資体験
私が初めて株の購入を考えた時、資金は5万円程度で検討しました。
その時、リストアップされたのは、
- 双日
- スターバックス
上記2つ。
結果、本の内容に最も適した双日を選びました。
スターバックスは、知らない人がいないくらい有名でお洒落なイメージの企業ですから、欲しかったのですが、企業価値以上の値がついているという計算結果となったのです。
それから暫くして、双日は下落、スターバックスは変化せず…。
完全に失敗したと思いました。
1株500円くらいだったのに、100円から200円の間を行き来するようになりました。
私は、本の通りに買ってしまったことを後悔しました。
銀行に言われるままに買った時と同じ様に、やはり自分なりの投資基準を持たねばならないと考えた記憶があります。
とは言え、株式投資は情報が沢山あり、何を基準とすれば良いのやら。
完全にお手上げ状態となり、投資信託に逃げたのでした。
しかし、双日株を単純に売っても損するだけです。
塩漬けにして保持し続けました。
理由の一つに、配当利回りが銀行の普通預金金利より良かったことが挙げられます。
売却して損失を確定するよりは、微々たる額でも配当を貰った方が利益が出ると判断したということ。
その後、一度だけナンピン買いをして、平均購入価格を下げ、値が上がったときにスグに売り抜けるようにしました。
もうほとんど期待せず、放置し諦めて、約10年ほど保持したところ、私にとっては奇跡が起きました。
配当金の値上げが発表されたのです。
当然株価は上昇。
平均取得単価を超えたところで無事に売り抜けることができました。
これが唯一の私の株式売買経験。
しかし、こうして振り返ってみても、色々と学ぶことがありました。
株式投資を通じて学んだこと
- 相場の波には抗い難い。
私が株を購入直後に値を下げたのは、日本の市場全体が冷え込んでおりました。その状況で勝つことは難しいように思います。
もちろん、波を乗り越える強い株が購入できたらベストですが。 - 割安であっても、価格がいつ上昇するかは分からない。
10年は長かった・・・。 -
余剰資金で投資をしなければならない。
どんなに割安の株であっても、値が上がるタイミングまでは分かりません。
いつ上昇するか分からない株を保持し続けるためには、生活資金に差し障りの無い資金を利用する必要があります。
何とか利益を得ることができたのは、最初に購入した投資信託のように、資金不足で売却する必要が無かったためです。 - 根拠ある投資ならば、下落しようが、ナンピン買いをし、平均取得単価を下げることも一つ。
これにより株式数を増やし、売却時にキャピタルゲインを得られ、同時に保有している時期は、配当というインカムゲインも得られます。 - 自分が購入した基準、理由を定期的に確認する。
私は、値が下がった時点で思考停止状態になり、本の内容そのものを疑いました。
当時、もう一度確認し、学びを深めれば違った結果があったかもしれません。
ナンピン買いをしたものの、利益を上げるよりも、負けないことを選びました。
根拠があれば、買い増しを行い、勝ち抜けたのかもしれません。 - 購入した企業を良く知る。
私は不勉強であったために、株を購入しただけで、どんな会社であるか良く調べませんでした。
その企業は「なに」で稼いでいるのかを調べることなく、株価の上下に振り回されただけでした。 - たとえ割安株でなくても値上がりすることはある。
私は、結局購入しませんでしたが、スターバックス株を名残惜しく定期的にチェックしていました。
スターバックスは、計算上では企業価値以上の値をつけていましたが、大きな値崩れもせず、2枚のドリンク券が株主優待として付く、悪くない銘柄でした。
その後、上場廃止となりますが、それとともに値は上がり、最終価格は15万近くになっていました。
こうしたことをみても、例え割安株でなくとも、値は上がることはありえます。
【まとめ】
上記は、再編集される前の本の内容をもとに、実践したものから得た経験ですが、参考とした計算方法は同じものでした。
この方法は、DCF法(DCF法 - Wikipedia)というのだとか。
私の様に株式投資の基準が無く、思考停止になってしまうような方は、一つの指標になりえる方法だと思います。
やはり感情的になると失敗を犯してしまうのだなと。
今回読んでみてあらためてそう思いました。
株式売買において、これが完全な正解でないにしても、基準として学び、自ら深めることができるのは良いことかと思います。
繰り返し読みたい本として、おススメします。